ANSYS CFX - 汎用熱流体解析ソフトウェア

ANSYS CFX は、20年以上にわたって様々な流体問題の解析に利用されてきた高性能な汎用流体力学解析ソフトウェアです。ANSYS CFX の優れた特徴として、その高度なソルバー技術が挙げられ、これにより信頼性の高い高精度な解析を迅速かつロバストに行うことか可能です。並列性に優れた最新のソルバーにより、流体に関連するほぼすべての物理現象を各種の物理モデルで的確に表現することができます。ANSYS CFX ソルバーと、このソルバーがサポートしている多数の物理モデルは、セッションファイル、スクリプト機能、強力な代数式言語を使用して様々なカスタマイズと自動化を行うことができる直感性と柔軟性に優れた最新のGUI とユーザー環境で利用することができます。


ANSYS CFXでモデリングした自動車のエンジン筒内の流れ(資料提供:BMW)

ANSYS CFX は高性能なCFD コードとして効果を発揮するだけでなく、ANSYS Workbench プラットフォームに統合することで、すべての主要なCAD システムとのシームレスな双方向連携機能、ANSYS DesignModeler の強力な形状修正・作成ツールが使用でき、また、ANSYS Meshing の高度なメッシュ生成ツールへのアクセスが可能で、データや結果をドラッグアンドドロップで転送し、アプリケーション間で共有することができます。例えば、流体解析の結果を利用して、その後の構造解析の境界荷重条件を設定できます。ANSYS CFX とANSYS 製品の構造解析ソリューションを連携させれば、非常に複雑な流体-構造連成(FSI)問題も、操作性に優れた同じ環境で簡単に解析できるようになるため、サードパーティ製の連成ソフトウェアの必要性を低減することができます。


BorgWarner TurboSystems社:タービンに接続されている排気マニホールドの温度場と流線
(資料提供:Borg Warner Turbo & Emissions Systems)

ANSYS CFXによるエアエンジンのファンの空力弾性シミュレーション(資料提供:EMT-R)
ANSYS CFXによるエアエンジンのファンの空力弾性シミュレーション(資料提供:EMT-R)

ANSYS CFX の特長

先進的なCFD ソリューションであるANSYS CFX は、様々な高度なモデルと技術を利用し、お客様の製品が流体挙動から受ける影響を高精度に予測することができます。

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直感的でパラメトリックな自動ワークフロー

ANSYS CFX は、業界でも類を見ないほど広範で詳細な機能を持つ、高度なエンジニアリングシミュレーション製品群の基盤となるANSYS Workbench プラットフォームに統合されています。ANSYS CFX のユーザーは、操作性に優れたこの統合プラットフォームから、パラメトリックな双方向CAD 連携機能、強力な形状モデリングおよびメッシュ生成ツール、プロジェクトレベルの自動更新機能、広範囲のパラメータ管理ツール、マルチフィジックスシミュレーション管理ツール、統合型最適化ツールにアクセスし、以下のメリットを享受することができます。

  • 製品/プロセスの形状を再作成することなく速やかに準備し、流体解析をスムーズに行うことが可能
  • 流体に限らず様々な物理現象間で継続して共有可能な共通データモデルを使用し、重複を回避することが可能
  • 形状モデリング、メッシュ生成、物理解析、ポスト処理に必要な一連のパラメトリック変数を簡単に定義し、この定義を使用した新規のCFD 解析を1回のマウスクリックで自動的に行うことが可能
  • ばらつきと設計感度を的確に把握し、製品/プロセスの品質向上を図ることが可能
  • マルチフィジックスシミュレーションを簡単に設定し、実行することが可能

ANSYS CFX は、CFD シミュレーションの生産性を大幅に向上させ、シミュレーション主導の製品開発を実現します。

ANSYS Workbenchプラットフォームに統合されているアンシスの流体力学ソリューション
ANSYS Workbenchプラットフォームに統合されているアンシスの流体力学ソリューション

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柔軟なメッシュ機能

複雑な形状の非構造格子を比較的簡単に作成して流体問題を解析できるなど、柔軟なメッシュ機能を備えたANSYS CFX は、三角形、四辺形、四面体、六面体、角錐、角柱(くさび形)などのメッシュタイプをサポートしています。なお、ANSYS Workbench では、CFD 解析に使用する形状をANSYS CFX にインポートしてから、この形状のモデルをANSYS DesignModeler で作成し、さらにANSYS Meshing を利用してこのモデルを自動または手動でメッシュ分割するといった一連の作業を簡単に行うことができます。

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実績のあるソルバー技術

ANSYS CFX は、すべての物理モデルと流体モデル(定常流れ/非定常流れ、亜音速から極超音速までの非圧縮性流れ/圧縮性流れ、層流/乱流、ニュートン流体/非ニュートン流体、理想気体/実在気体など)をロバストかつ効率的に解析することができます。

ANSYS CFX は、数十年にわたり連成代数マルチグリッドの技術を採用し続けています。この手法は、ユーザーが入力や数値的変更を行わなくてもメッシュサイズの変更に対応し、短時間で確実に収束解を得られます。また、メッシュのアスペクト比の高さに左右されないため、境界層を高精度に捉えることができます。ANSYS CFX は、すべてのシミュレーションで精度を最大限に高めるために、2次精度移流スキームをデフォルトとして採用しています。このソルバーはあらゆるタイプの問題に対応しますが、特に方程式を連成する必要がある流体の解析に大きな威力を発揮します。こうした流体の例としては、コリオリ項が大きい回転流のほか、燃焼流や、圧力勾配の大きい高速流などが挙げられます。

工業製品の流体解析で生じる様々な現象をロバストかつ高精度に解析するには、離散化を適切に行う必要があります。ANSYS CFX にデフォルトで装備されている高精度な離散化スキームは、ロバスト性と高精度を同時に実現させることができます。このアダプティブな有界中心差分スキームは、離散化を局所的に調整し、計算の安定性を保ちつつ、2次精度にできる限り近づけることができます。

内燃機関の噴霧器
内燃機関の噴霧器

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乱流モデリング

工業製品が伴う流れの大半は乱流です。ANSYS CFX は、こうした乱流の影響を正確かつ効率的に表現できる先進的で強力なモデリング機能を搭載しています。

ANSYS CFX は、統計学に基づく一般的な2方程式乱流モデルやレイノルズ応力乱流モデルだけでなく、当社が様々なテストを行って強化したSST(せん断応力輸送)乱流モデルも利用することができます。非平衡状態にある乱流境界層の流れや伝熱の予測に威力を発揮するこのSST モデルには、広く利用されているk-εモデルと同様に経済的なモデルでありながら、特に剥離流を高精度で計算でき、様々な流れや壁近傍のメッシュのコンディションに対応しています。また、ANSYS CFX は、壁せん断と伝熱の予測精度を最大限に高める自動壁処理や、流線曲率などの影響を捉えられる多数の拡張機能など、多くの乱流モデルに関する機能改良により、SST モデルを補完しています。

ANSYS CFX は、革新的な層流から乱流への遷移モデリング機能も搭載しています。例えば、ターボ機械、航空宇宙、海洋システムなどの業界で機器の効率と耐久性を向上させるには、層流境界層が乱流に変化する位置をCFDシミュレーションで予測する必要があります。このような場合には、Menter–Langtry γ–θ laminar–turbulent transition model™ を使用してCFD シミュレーションを実行し、様々な遷移メカニズムを的確に捉えることができます。

ANSYS CFX は、ラージエディシミュレーション(LES)モデルやデタッチドエディシミュレーション(DES)モデルなど、スケール解像型の様々な乱流モデルのほか、当社が開発に力を入れている画期的なスケールアダプティブシミュレーション(SAS)モデルも装備しています。このSAS モデルを使用すれば、安定した流体領域の定常流解析を実施できるだけでなく、大規模な剥離領域などの不安定な乱流を陽的なグリッドや時間ステップに依存することなく解析することも可能になります。様々な検証で優れたな結果を出しているSAS モデルは、乱流を解析する必要がある用途に最適なオプションです。

直交流内の加熱噴流を予測しているところ。SAS乱流モデルは、RANSモデルに比べて予測精度に優れている。
直交流内の加熱噴流を予測しているところ。SAS乱流モデルは、RANSモデルに比べて予測精度に優れている。

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伝熱と輻射

タービンブレード、エンジンブロック、燃焼器などの様々な産業用機械のほか、建物や構造物を設計する際には、伝熱を最適化するために対流伝熱を正確に予測することが不可欠です。また、こうしたケースの多くでは、固体中の熱拡散と、輻射による伝熱も重視する必要があります。

固体中の伝熱を計算できる共役熱伝達(CHT)機能で流体解析が可能な最新技術を採用したANSYS CFX は、固体領域を直接メッシュ分割したり、シェルモデルを使用して固体領域を薄いシートとしてモデリングしたりすることもできます。なお、ANSYS CFX は、薄いバッフルの伝熱、固体間の接触領域の熱抵抗、固体表面上のコーティングの熱抵抗を解析することも可能です。

ANSYS CFX は、輻射に対して完全に透過的、半透過的、または非透過的な流体と固体の内部および間の輻射熱交換を把握できる豊富なモデルを用意しています。その中で最も柔軟性の高いモンテカルロモデルでは、シミュレーション領域内の多数の光線をトレースし、光子とその周囲との間の物理的相互作用をシミュレーションすることができます。さらに、流体と固体の両方の内部に存在する光学的に厚い媒体から薄い(または透明な)媒体までの様々な媒体をシミュレーションできるだけでなく、輻射場の変化が小さい領域にある輻射メッシュを自動的に粗くして、効率を最大限に高めることもできます。

また、ANSYS CFX は、波長依存性をシミュレーションで考慮できる各種のスペクトルモデルや、散乱効果を考慮できる機能も備えています。

自動車用ターボチャージャーのタービン内の流体と排気マニホールドメタルの温度を、ANSYS CFXを使用して詳細に解析しているところ(資料提供:BorgWarner Turbo & Emission Systems)
自動車用ターボチャージャーのタービン内の流体と排気マニホールドメタルの温度を、ANSYS CFXを使用して詳細に解析しているところ(資料提供:BorgWarner Turbo & Emission Systems)

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混相流

CFD の適用は、単相流に限らず混相流にも必要ですが、ANSYS CFX は、この混相流モデリングの最先端技術を搭載しています。ANSYS CFX の幅広い機能を利用すれば、検証が困難な機器の洞察を得ることができます。装備された非常に広範なモデルを使用すれば、気体/液体、分散粒子/液滴、自由表面などの流体相間の相互作用を的確に捉えることができます。なお、いずれのモデルも、混相流解析のロバスト性と拡張性を高める強力な連成ソルバー技術を採用しています。

ANSYS CFX は、自由界面の解析に有効なVOF(Volume Of Fluid)モデルも利用することができます。スプレー乾燥機、液体燃料スプレー、連続伸線装置、石炭炉などの混相流システムの解析に対応するシンプルな分散相モデル(DPM)を使用して、希薄な液滴流や粒子流を表現することも可能です。また、高密度の液滴流や粒子濃度を表現できるDense DPM(DDPM)モデルや、大きな固体粒子間の衝突を正確に調査し評価する際に役立つ離散要素法(DEM)モデルも用意されています。ANSYS CFX は、浸食などの複雑な物理現象をシミュレーションすることもできます。

ANSYS CFX に装備されているオイラー混相流モデルには、質量、運動量、エネルギーの交換を考慮できる各種のオプションを用意しています。例えば、抗力モデルと抗力以外の力のモデルのほか、キャビテーション、蒸発、凝縮、沸騰に起因する相変化をモデリングできるロバストなモデルや、気泡の大きさがそれぞれ異なる乱流の合体や分裂の影響をシミュレーションできるマルチサイズグループ(MUSIG™ )モデルを利用することができます。

燃料棒バンドル内スペーサー下流の核沸騰(資料提供:Dr. E. Krepper, FZ Dresden)
燃料棒バンドル内スペーサー下流の核沸騰(資料提供:Dr. E. Krepper, FZ Dresden)

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化学反応と燃焼

流体の化学反応や燃焼を高精度にモデリングできるANSYS CFX は、ガスタービン、自動車エンジン、石炭燃料炉の燃焼設計でシミュレーションを行ったり、建物やその他の構造物の内部および周囲の耐火性を評価したりする際に威力を発揮します。

ANSYS CFX には、あらゆる状況に対応した様々なオプションが用意されています。例えば、化学反応に関する豊富なライブラリが用意されており、ユーザーが簡単に編集および拡張を行うことが可能です。また、化学反応テーブルにANSYS RIF(Reactive Integrated Flamelet)を読み込むこともできます。それだけでなく、自動点火、火花点火、汚染物質生成(NOx、煤)、残留排ガス、ノッキング、壁の急冷、火炎消化のモデルも用意されています。

ANSYS CFX の渦消散モデル(EDM)と有限反応速度(FRC)モデルは、乱流流れに起因する反応体混合の速度に比べて高速な化学反応と遅い化学反応をそれぞれシミュレーションすることができます。化学反応速度を1段反応と多段反応(定義済みまたはユーザー定義の反応)の2つの速度の最小値と見なすことができるため、2つのモデルを組み合わせてシミュレーションすることもできます。

燃料と酸化剤を別々にシステムに加えることで反応速度が比較的速くなると想定される化学反応をシミュレーションする場合には、確率密度関数(PDF)を仮定した層流火炎片モデルを使用することで、数百もの輸送方程式を解くことなく、数百種類の化学種の詳細を実用的かつ効率的に表現することができます。

ANSYS CFX は、ガスタービンなどで酸化剤と燃料を予混合/部分予混合することによって火炎が定常状態になる燃焼のモデリングに最適な燃焼速度モデル(BVM)も装備しています。このモデルを層流火炎片のPDF モデルと組み合わせることで、火炎面後方の混合と反応をモデリングできます。

ANSYS CFX は、BVM モデルと同様に燃料と酸化剤の予混合/部分予混合燃焼のモデリングに有効なECFM(Extended Coherent Flamelet Model)もサポートしています。層流火炎片のPDF モデルと組み合わせて火炎面後方の混合もモデリングすることができるこのモデルは、自由度を追加することで、内燃機関などに見られる非定常の火炎や可動形状のモデリングにも利用できるようになります。なお、ECFM には、火炎に対してクエンチ効果を持つ壁を組み込めるオプションが用意されています。

スケール解像度のSAS乱流モデルを使用してシミュレーションを行い、燃焼室の瞬間温度と時間平均温度を予測しているところ(資料提供:German Aerospace Center(DLR)、Institute of Combustion Technology)
スケール解像度のSAS乱流モデルを使用してシミュレーションを行い、燃焼室の瞬間温度と時間平均温度を予測しているところ
(資料提供:German Aerospace Center(DLR)、Institute of Combustion Technology)

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回転機械

ANSYS CFX は、回転機械業界で最先端のCFDコードです。業界で20 年以上の実績を持つANSYS CFX は、ポンプ、ファン、圧縮機、ガスタービン、水車などの、正確でロバスト性が高く効果的なモデリングに必要とされる非常に広範な機能が装備されています。

ANSYS の製品には、ANSYS Vista TF(2次元のスルーフロー解析で予備設計を速やかに最適化するツール)、ANSYS BladeModeler(回転機械用形状作成ツール)、ANSYS TurboGrid(回転機械用メッシュ生成ツール)といった、回転機械の設計および解析のためのさまざまなソフトウェアがあります。また、ANSYS CFX はANSYS の構造解析ソリューションと密接に連携して、流体-構造連成(FSI)も行えます。

ANSYS CFX は、専用のプリ/ポスト処理ツールを使用することで、各種のインターフェース モデルを効率的に利用し、回転部と静止部の相互作用を正確に把握することができます。

動翼と静翼の非定常解析機能は、部品間の相互作用を非常に高い精度で解析でき、1組の翼流路から機器の360度全周まで解析可能です。設定および操作方法はシンプルで、他のフレーム変化モデルと組み合わせて利用でき、同じシミュレーション内で、定常と非定常のフレーム変化インターフェースを組み合わせることも可能です。二次の時間精度を利用することでこのような解析が可能になり、精度も大幅に向上しました。さらに、Transient Blade Row モデル(Time Transformation モデルおよびFourier Transformation モデル)は、360度全周ではなく数個の翼流路をモデル化するだけで、ピッチ比が異なる多段翼列の解析が可能です。

ステージインターフェースモデルは、全周の非定常動静翼モデルよりも速やかに解を得られるシンプルなモデルで、インターフェースで変数の周方向平均化を実行することで定常計算を可能にします。

非定常動静翼干渉を精度良く捉えるための様々なオプションが用意されています。例えば、非定常翼列干渉のモデルを選択することで、翼の数が異なるために、ピッチ方向に周期的拡張する流路数も異なるコンポーネントの相互作用の予測を行えます。これらの高性能なモデルを利用することで、翼列全周の非定常解析よりも必要なメモリ容量を削減でき、解析時間を大幅に削減可能です。

ANSYS CFX で回転部と静止部の相互作用を解析するもう1つの方法として、Frozen Rotor モデルが挙げられます。1回転の間に各翼流路の周方向の流れが大きく変化する場合に、このモデルは有効です。このオプションを用いることで、回転部周囲の流れがすべての回転角において準定常流れであるという仮定のもとに、定常計算を行えます。回転領域において他の回転効果(コリオリ力や遠心力の項)も考慮され、別の解析領域がリンクされる際に、スライディング インターフェースを越えてフレームが自動的に変更されます。

水圧ブースターのエネルギー回収タービンの断面を表示し、流線をプロットした
水圧ブースターのエネルギー回収タービンの断面を表示し、流線をプロットした

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流体-構造連成解析

ANSYS CFX とアンシスの構造解析ソリューションを連連携させることで、固体運動の流体への影響を容易にモデリングでき、統合環境であるANSYS Workbench を利用すれば、流体-構造連成(FSI)シミュレーションを簡単に設定することができます。双方向FSI 解析のロバスト性、適用性、精度で業界をリードするANSYS CFX のFSI 解析は、サードパーティ製の連成ソフトウェアやプリ/ポスト処理ソフトウェアを必要としません。

特定の流体ボリュームメッシュを変形させることができる柔軟性の高いロバストなアルゴリズムを採用しているANSYS CFX は、非常に大きな境界変位にも対応します。こうした変位は、CEL で明示的に定義したり、ANSYS の構造解析ソリューションやANSYS CFX の剛体ソルバーで陰解法によるFSI シミュレーションを行って求めたりすることがありますが、ANSYS CFX は、いずれのケースでも、境界変位を内部のボリュームメッシュの中に拡散させながら、小さな要素や壁近傍の要素の変形を抑えることができます。これにより、境界層の解像度を適切に維持しつつ、1つのメッシュトポロジーでメッシュを大きく変形させることも可能になります。

ANSYS CFX は、境界運動が非常に激しい場合や、1つのメッシュトポロジーだけでは変位全体を適切にモデリングできない場合に、必要に応じて自動的にリメッシュしながらシミュレーションを行うことができるオプションもサポートしています。この自動リメッシュ機能は、ANSYS CFX からANSYS ICEM CFD のスクリプト方式のバッチメッシュ機能にアクセスしてリメッシュを自動的に実行できますが、ANSYS CFX は他のスクリプト方式のメッシュ生成ソフトウェアと連携させることもできます。

ANSYS CFXによる、エアエンジンのファンに空力弾性シミュレーション(資料提供:EMT-R)
ANSYS CFXによる、エアエンジンのファンに空力弾性シミュレーション(資料提供:EMT-R)

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Immersed Solid 解析手法

Immersed Solid 法は、ANSYS CFX に装備されたFSI 解析のためのオプションであり、流体領域に埋め込まれた固体オブジェクトの動きを制限なくシミュレーションでき、メッシュの変形および再生成を必要としません。埋め込まれた固体が流体中を移動する際に、適切なソース項を用いて、オーバーラップする領域の特定と流体の解の調整が行われ、固体の存在が反映されます。このような固体の動きは、ユーザーが柔軟に定義でき、また、ANSYS CFX の剛体ソルバーによる陰解法から得ることができます。

ANSYS CFX に完全に統合された6自由度剛体ソルバー(陰解法)では、特定の質量と慣性モーメントに作用する力とモーメントを陰解法で計算した結果を利用して、境界、領域、サブ領域の運動を求めることができます。このソルバーは、航空機からの物体分離や、波の影響を受ける船舶の動きなどの解析に対応します。

スクリューポンプ内の流れのシミュレーションで、ローターの運動の把握にImmersed Solid解析手法を使用した
スクリューポンプ内の流れのシミュレーションで、ローターの運動の把握にImmersed Solid解析手法を使用した

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拡張性に優れた強力なハイパフォーマンスコンピューティング機能

ANSYS CFX は、拡張性に優れた強力なハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)オプションを利用することができます。例えば、ANSYS CFD HPC では、並列処理を行って形状が詳細で大規模なシステム(単翼流路ではなく、全周360度の翼流路など)や複雑な物理現象(定常乱流ではなく、非定常乱流など)の高精度なCFD モデルを解析し、製品の性能を詳細に把握することができます。これにより、他の方法では得られない情報を得ると同時に、不良品の発生や問題解決の遅延につながることがある設計上の問題を特定し、大きなビジネスメリットを享受することができます。また、ANSYS CFD HPC を使用すれば、製品の挙動を詳細に把握して設計の精度を高め、市場で成功を収めることも可能です。

各流体解析の所要時間を短縮して処理能力の向上を図ることができるANSYS CFD HPC は、設計サイクルの早い段階で様々な設計案を検討して的確な判断を下せる環境を整えるとともに、エンジニアとほぼすべての製品開発プロセスの生産性と効率を向上させることができます。

ANSYS CFX は、最新のマルチコアプロセッサを最適化する技術のほか、新たに改良されたプロセッサアーキテクチャー、モデル分割アルゴリズム、通信最適化技術、プロセッサ間の動的な負荷調整技術を採用しています。例えば、操作性に優れたANSYS CFD HPC は、マルチコアデスクトップワークステーションからハイエンドのHPC クラスタまでの様々なシステムに完全に対応します。

ノード数10,000,000個の遷音速翼型のベンチマークを例に、ANSYS CFXの拡張性を示したグラフ。AMD Opteron(TM) 2218プロセッサのクラスタで収集したデータからは、高速インターコネクトの効果がみてとれる。
ノード数10,000,000個の遷音速翼型のベンチマークを例に、ANSYS CFXの拡張性を示したグラフ。
AMD Opteron™ 2218プロセッサのクラスタで収集したデータからは、高速インターコネクトの効果がみてとれる。

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物性

圧力や温度などの流れ条件の影響を受ける材料の挙動を詳細に把握することで、CFD 解析の精度を向上できることがあります。ANSYS CFX は、いかなる場合でもCFD解析の精度を最大限に高めることができる様々な材料モデリングオプションをサポートしています。

ANSYS CFX には、幅広い種類の流体・気体・固体について、豊富な物性値データベースが用意されており、理想流体および実在流体の両方の挙動を、定評のある高度な状態方程式を用いてモデル化することができます。Sutherland 則や動力学的理論に基づいたモデルなど、多数の関係式を利用して粘性や伝導率の変化を考慮することができます。非ニュートン流体については、豊富な粘性モデルの中から選択して、せん断速度に依存する挙動を考慮することができます。

ユーザー独自の物質モデルや、物質データベースに未登録の物質および物性をシミュレーションに考慮する場合、柔軟性に優れたユーザー環境と強力なCFX Expression Language(CEL)が威力を発揮します。例えば、CEL は、新しい材料モデルのほか、流れ条件(圧力、温度、せん断ひずみ速度など)に対する物性の依存性をいくつでも簡単に定義することができます。また、シンプルなCEL 書式でこうしたカスタムモデルの代数式はCFX-Pre のGUI に直接入力でき、外部ルーチンのプログラムは不要です。非常に簡略化された手順で記述を行えます。

非平衡条件下での湿り蒸気を予測し、低圧蒸気タービンの熱力学的性能の定量化を行った(資料提供:Siemens AG)
非平衡条件下での湿り蒸気を予測し、低圧蒸気タービンの熱力学的性能の定量化を行った(資料提供:Siemens AG)

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カスタマイズ機能とプロジェクト全体で使用できるスクリプト機能

ANSYS CFX は、上級ユーザーがアプリケーション固有の用語や説明用のスケッチを使用して入力パネルを作成できるユーザー定義のGUI 拡張機能のほか、複雑なケースや頻繁に繰り返されるケースが事前に定義されたカスタマイズ可能なモデルライブラリ、マクロや記録済みのセッションファイルのバッチ処理、プログラミング効率を最大限に高めるPerl プログラミング言語へのアクセスなど、カスタマイズと自動化を支援する様々なオプションをサポートしています。

また、ANSYS CFX は、ANSYS CFX とそのユーザー環境の柔軟性を高めるCFX Expression Language(CEL)とCFX Command Language(CCL)も利用することができます。

強力な定義言語であるCEL を使用すれば、独自のカスタムモデルをANSYS CFX 標準のユーザーインターフェースに直接かつ簡単に組み込むことができます。その他にも、新しい物理モデルの追加、特殊な解析変数の作成、物性関係の定義、境界条件とプロファイルの設定などが行えるCEL の書式は直感的で簡単にマスターすることができます。CEL には、多数の定義済みの関数や演算子を使用しながら、シミュレーションを様々な方法で簡単にカスタマイズできるというメリットもあります。

一方、CCL は、GUI の代わりにテキストベースの直感的なコマンドファイルを使用して、ソルバーへのアクセス、物理モデルの実装、境界条件の定義、ソルバーのパラメータ設定を行うことができます。また、このコマンドファイルを編集して値を適切に変更し、パラメトリック解析をスムーズに進めることもできます。CCL を使用すれば、ANSYS CFX をバッチモードで実行したり、最適化/設計システムに統合したりすることも可能になります。

さらに、流体解析だけでなく、CEL とCCL の機能をANSYS Workbench のスクリプト機能(プロジェクト全体で使用可能)と連携させることも可能です。なお、このスクリプト機能を使用してパラメータ・ファイル・データの管理や最適化設計に取り組めば、生産性の大幅な向上を図ることができます。

「私は、CFX Expression Language(CEL)を長年愛用しています。CEL は、シミュレーションのカスタマイズ、拡張、パラメータ化をいつでも簡単に行うことができます。ANSYS CFX 12.0 以降では、CFX-Pre 内のユーザー定義式にも非常に簡単かつ迅速にアクセスできます。」

— Fabio Kasper氏(Whirlpoo社、開発エンジニア)

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ポスト処理とデータエクスポート

ANSYS CFX は、ポスト処理機能を使用して、流体解析結果のグラフィックス、アニメーション、レポートを効果的に作成し、簡単に配布することができます。このソリューションで利用できるポスト処理機能の一例として、表面の網掛けと透明化、パスライン、ベクトルプロット、コンタープロット、ユーザー独自のフィールド変数の定義、シーン構成などがあります。また、ANSYS CFX で解析した結果は、ANSYS CFD-Post、サードパーティ製のグラフィックスパッケージ、CAE パッケージにエクスポートして他の解析に使用することができます。ANSYS Workbench 環境では、ANSYS CFX の解析結果を、他のANSYS 製品のシミュレーション内のサーフェスにマッピングし、熱負荷また圧力荷重として利用することができます。スタンドアロンモードでは、サーフェスにかかる構造荷重・熱負荷や、ボリューム内の温度を、ANSYS CFX からサードパーティ製のFEA メッシュにマッピングすることができます。

ANSYS CFD-Postは、様々な設計の視覚的・定量的な比較を直接行える
ANSYS CFD-Postは、様々な設計の視覚的・定量的な比較を直接行える

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アドオンモジュール

形状モデルの簡略化と編集

ANSYS DesignModeler: シミュレーション プロセスのための形状作成ツールです。CAD 形状の修正、流体領域の作成、詳細な形状作成、コンセプトモデルの作成などを簡単に行うことができます。

シックスシグマ解析と最適化設計

ANSYS DesignXplorerANSYS Workbench 環境で実行されたシミュレーションについて、設計最適化をロバストに実行できるツールで、CAD パラメータに関する分析も行えます。部品やアセンブリについて様々な構造解析および熱解析の応答を調査、定量化、グラフ化することができます。Goal-driven の最適化手法で、従来型および非従来型の両方の最適化を実現できます。

高度なメッシュ生成

ANSYS ICEM CFDANSYS TGrid: 上級ユーザー向けに、ANSYS Meshing の機能を拡張するソフトウェアで、質の悪いモデルや複雑なモデルのメッシングが可能です。

ターボ機械専用のアドオンモジュール

高速な2次元スルーフロー解析

ANSYS Vista TF: 2次元のスルーフロー解析をもとに、ターボ機械の初期設計を迅速に最適化することができます。

高速な3次元ブレード設計ツール

ANSYS BladeModeler: ブレードを有する回転機械の部品の3次元設計に特化したツールで、簡単かつ速やかに設計することができます。

ターボ機械専用のメッシュ生成ツール

ANSYS TurboGrid: ブレードを有する回転機械向けのメッシュ生成ツールで、高度に自動化されており簡単にメッシュ生成を行うことができます。

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データ管理

ANSYS CFD は、ANSYS Engineering Knowledge Manager(EKM) と連携させて使用することができます。シミュレーションデータの管理に威力を発揮するこのEKMシステムは、アーカイブ、バックアップ、トレーサビリティー、監査証跡の管理、知識共有、知的所有権の保護など、シミュレーションデータの管理に必要な様々な機能を備えています。これらの機能を利用すれば、ANSYS CFD でシミュレーションして得た情報を適切に管理し、企業のエンジニアリングプロセスに活かすことができます。

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