ANSYS 14.0 リリースの概要
ANSYS 14.0 は、お客様がエンジニアリングの可能性を広げ、複雑な工業製品のシミュレーションを実行し、ハイパフォーマンス コンピューティングで製品革新を推進するための、多くの高度な新機能を提供します。
これまで以上に詳細で幅広い物理現象を扱うことができ、変化し続けるお客様のニーズに対応可能です。これらの機能向上は、最先端の研究開発に携わるお客様の協力を得られた結果実現したものであり、Simulation Driven Product Development™(シミュレーション主導の製品開発)に必要な包括的ソリューションを提供することができます。
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エンジニアリングの可能性の拡大
CAD形状の自動メッシング
CAD モデルには、パーツ、ギャップ、パーツ同士の接触部などが多く含まれ、これらの数が多くなるほど、形状の質が低下しやすくなります。CFD エンジニアは、流体領域の抽出とメッシュ生成のために、CAD ファイルから得た形状をクリーン アップする必要がありますが、長く面倒な作業になりがちです。ANSYS 14.0 のアセンブリ メッシング ツールを利用すれば、CAD アセンブリから流体領域を自動抽出することができ、目的や好みに応じて、カットセル処理された直交メッシュの生成や、非構造の四面体メッシュ(Cut-Tet)の生成が可能です。
カットセルはセル数を削減でき、壁や境界から離れた領域に高品質メッシュが必要な場合に適しており、Cut-Tet は壁近傍の領域に高品質メッシュが必要な場合に適しています。せん断層や境界層などの勾配の大きな領域を精度良く解像するために、この 2 つのメッシング技術でインフレーション層がサポートされています。解析のプリ処理(六面体/四面体ハイブリッド メッシュを生成するための、形状クリーンアップ、流体領域の抽出、領域分割)に膨大な時間を割いていたユーザーは、このアセンブリ メッシング ツールを使用することで、短時間のうちにロバストな方法で高品質メッシュを自動生成することが可能です。

ANSYS Workbench Meshing は、複雑な CAD アセンブリの流体領域抽出およびメッシュ生成を自動的に行う。
画像はカットセルを行った六面体メッシュ。四面体メッシュの生成も可能。
両方の手法で、壁近傍の流れを解像するためのインフレーション層をサポートしている。
ワークフロー パフォーマンス&ユーザビリティ
シミュレーションを単一の動作条件で実行しても、性能情報を得られますが、性能限界全体について実行することで、設計に関してより多くの洞察を得られます。形状の構成、メッシュ コントロール、物性値、操作条件のパラメトリック モデリングを可能にすることで、ANSYS Workbench は設計の調査および最適化のためのフレームワークを提供し、シミュレーション プロセスを自動化させます。ANSYS 14.0 は、クラスタ計算環境を考慮した Remote Solve Manager(RSM)による同時解析に対応した設計点の更新が可能です。
形状のモデル化およびシミュレーションの相互運用性
ANSYS DesignModelerでは、Named Selections および Sketches のサポートに加えて、形状エンティティ(フェース、エッジ、頂点など)を直接操作できるようになりました。ANSYS 14.0 の全機能および全ツールは、頻繁に使用する機能やツールに直接アクセスできるように、カスタマイズしてツール バーに表示させることができます。作業効率化のために、利用頻度が高い操作のショートカット キーが追加されました。ANSYS 14.0 のその他の改善点として、スライス処理の自動停止、エラー処理の改善、シングル セレクトとボックス セレクトの簡単な切り替え、トポロジの問題を特定し修正するためのエッジ方向と頂点の可視化などが行われました。
パラメトリックモデリングおよび設計最適化
ANSYS Fluent の Adjoint ソルバーを用いることで、形状やその他の設計パラメータについて、目的とする工業量(抗力、揚力、圧力の低下など)の導関数を算出できます。これにより、パフォーマンスおよびロバスト性を向上させるために最も適した設計変更の指標を得られ、また、幅広い設計変更シナリオが予想される改善の定量的推定を短時間で行えます。Adjoint 法の優れた点は、単一のシミュレーションから、従来よりもはるかに多くの洞察を得られることです。この技術が ANSYS Fluent と密接に統合され、信頼性が高く一貫性のある設計感度を確実に計算することが可能です。

Adjoint ソルバーは、F1 カーの最適なダウンフォースを得るために必要な形状の修正箇所と、
その方法を示すことができる。
Mechanical APDL と ANSYS Workbench の統合
ANSYS 14.0 は、Workbench Mechanical の実行環境において、有限要素モデルのさまざまなコンポーネントを制御する多くの機能を導入しています。拘束方程式、スパイダー ウェブ、弱ばね等のすべての接続を可視化できるようになり、選択ロジックを使用して、節点のセレクションを作成できます。例えば、解析のリスタート操作時に修正する可能性がある荷重や境界条件を適用するために、これらのセレクションを使用できます。

![]()
同様の選択ロジックを使用して、節点の Named Selection を作成可能。
例えば、球状または箱型のボリューム内のノード グループを、ベースになる形状から個別に選択することができる。
複合材
複合材構造のシミュレーションでは、さまざまな方向を考慮しつつ構造上に膨大な数の層を定義したり、構造の破壊の可能性を層ごとに解析したりという課題が伴います。ANSYS Composite PrepPost は、このようなモデルの操作を非常に容易にする専用ツールです。リリース 14.0 では、ANSYS Composite PrepPost と ANSYS Workbench の他の構造解析機能を密接に統合しました。また、進行性破壊のような複合材の破壊を解析するための特殊なモデリング技術も提供します。

資料提供:TU Chemnitz and GHOST Bikes GmbH

ANSYS Composite PrepPost はプロジェクトページに表示され、陽解析または陰解析とのデータ交換を
スムーズに行うことができる。上の画像は、陰解法で解析した自転車のフレームと、陽解法で解析した野球のバット。
外部データのマッピング
異なる物理場間でシミュレーション結果を共有する場合、外部ファイルからデータ(圧力場、温度、熱交換係数など)をインポートするのが一般的な方法です。また、自動化アルゴリズムを使用すれば、異なるメッシュ間でデータを効率的に投影できます。しかし、オリジナル データと作業中のメッシュの間に不整合がある場合や、オリジナル データが不十分な場合に、問題が発生することがあります。ANSYS 13.0 で導入した機能を ANSYS 14.0 で改善し、新たなコントロールおよび補正機能が利用可能になりました。

画像は翼の温度場をインポートしたもの。
それぞれ、実際の温度フィールド(左)と、補間データの品質を評価する検証ツールから得た結果(右)を示している。
回転機械
ANSYS 14.0 では ANSYS Mechanical で、ソリッド ボディおよびライン ボディについて、キャンベル線図を用いて一軸システムの臨界速度を特定する機能を導入しています。これにより、ANSYS Workbench のユーザーは効率的にソルバーを利用することができます。

初期設計で行われるような、テキスト ファイルのシンプルな定義によって、形状を自動作成できる。

ANSYS Mechanical のキャンベル線図は、構造のモードごとの変化を速度で示し、
臨界速度および各モードの安定性を特定できる。
ビームおよびシェル
ANSYS Mechanical は、ライン ボディのパイプとビームの定式化を切り替える機能を導入しました。パイプ特有の荷重と結果を定義する機能も利用可能です。ANSYS 14.0 は、Mechanical APDL ソルバーから利用可能な最新のパイプ要素をサポートします。
ユーザーは外部のデータ機能を使用して、表形式データの不均一の厚さフィールドをインポートできます。ANSYS Polyflow などのシミュレーション プログラムや、可変厚さを持ち、液体で満たされたプラスチック ボトルの落下試験のような複雑な事象のシミュレーションから、可変のシェル厚さを持つボディを直接インポートできます。

Mesh Connection:形状(左側)は不連続サーフェスで構成されているが、メッシュは完全に連続しており、
形状をマージする必要はない。
形状モデル上で共有エッジを利用するために、形状を変更せずに隣接するフェースの節点をマージできるように、Mesh Connection が強化されました。これにより、大規模なシェル モデルのメッシングにおけるロバスト性と効率が向上します。
ロバストな陽解法解析
NBS(Nodal Based Strain)の四面体要素は、これまで遭遇していた数値的な難問を解消します。せん断の影響を受ける問題で四面体要素を使用する場合、要素はロックされます。陽解法解析には、六面体要素が最も適していますが、六面体要素では複雑な形状のメッシングが困難です。10 年ほど前の ANSYS Explicit Dynamics に実装されていた ANP(Average Nodal Pressure)の四面体要素は体積ロッキングの問題を解決できても、せん断ロッキングの問題は解決できませんでした。ANSYS 14.0 では、NBS の四面体要素によって、せん断荷重を伴う問題を精度良く解析することができます。

新しい四面体要素によって、解析精度を保ちつつ、複雑な形状のモデル化を短時間で行うことができる。
ANSYS HFSS for ECAD
Ansoft Designer の新しいリンク機能により、Cadence のレイアウト ツール(Allegro、Virtuoso、SiP など)上で ANSYS HFSS のモデル作成から解析までを行えるようになりました。これにより、すべての Cadence 環境でモデル作成を自動化できるため、HFSS の専門家でないエンジニアも解析が可能です。
Cadence ユーザーでない方は、ODB 形式を使用してレイアウトを Ansoft Designer に直接インポートできます。Ansoft Designer に取り込むことで、レイアウト エディタを使用してレイアウト変更を容易かつ短時間で行うことができ、また、HFSS Solver on Demand 機能で自動的に励振条件を割り当てて、インポートした構造を解析することができます。
ANSYS SIwave の精度とユーザビリティの向上
ANSYS SIwave は、ビアとその関連構造の計算機能を大きく向上させました。この機能向上には、任意のアンチパッド形状の評価や、場合によっては近接するビアの連成モデルも含まれます。また、上下にGNDリファレンスが存在しない信号線の扱いを改善させました。
ANSYS SIwave は、HSPICE または ANSYS Nexxim のトランジェント シミュレーションを ANSYS SIwave から直接実行できる機能を持ちます。一度シミュレーションを終えると、各信号線の時間領域波形を ANSYS SIwave から直接プロットさせ、評価することができます。
3 次元 IC パッケージ
IC パッケージ メーカーは、チップの性能向上を維持するために、System-on-Chip(SoC)、スタック(積層)ダイ、Multi-Chip Module(MCM)などのより複雑なパッケージ技術の発展を続けてきました。同一パッケージ内で複数のダイを縦に積み重ねるスタック ダイのような 3 次元のパッケージは、特殊な熱的条件となります。3 次元構造では、熱はチップ全体に均一に拡散せず、局所的なホットスポットが発生します。ANSYS Icepak 14.0 を使用すれば、スタック ダイや Package-on-Package(PoP)の熱シミュレーションが可能です。

1U ネットワーク サーバーの流線と温度分布。
6 面体を中心とした非構造マルチレベル メッシュで複雑な形状も無理なく表現。
電子機器冷却のワークフロー&ユーザビリティ
ANSYS Icepak 14.0 では、新しいアイコンを使用したグラフィカル ユーザー インターフェースの採用、メニューおよびダイアログ ボックスのデザイン変更、右クリック機能の拡張、グラフィクスの拡張、その他多くの生産性を向上させる機能拡張が行われました。ANSYS DesignModeler が改良されたことで、3 次元 CAD データをもとに ANSYS Icepak のオブジェクトの簡略化と作成を短時間で行えます。ANSYS CFD-Post の新しい変数(Thermal Chokepoint および Thermal Cross)を使用することで、熱抵抗が高い領域や、新たに熱流路が生じる可能性のある領域を特定できます。

ANSYS Icepak の GUI。デザインを変更し、よりユーザー フレンドリーに。
ANSYS EKMのインストールと設定
ANSYS EKM 14.0 には数々の新機能が追加されましたが、中でも重要な変更は、EKM Individual と EKM Shared という 2 種類の製品で、インストールとライセンス設定を簡素化するというものです。
- EKM Individual の設定では、1人のユーザー向けに、1台のマシン上に、EKM サーバーを設定します。ユーザーは、自分のサーバー上にある個人リポジトリにアクセスし、EKM の全機能を使用できます。
- EKM Shared Server の設定では、複数のユーザーが共同作業のためにアクセスできる共有デバイスに EKM サーバーを設定します。複数のユーザーが LAN や WAN を経由して共有リポジトリにアクセスできます。

EKM は、柔軟でわかりやすいライセンス モデルにより、シングル ユーザーの構成と共有構成の両方に対応する、
スケーラブルなソリューションです。
分散したチームが、ローカルまたはリモートにあるマシン上のリポジトリに接続して、
共同で CAE の作業を行うことを助けます。
ANSYS EKMによる生産性向上
EKM は、ANSYS Workbench に統合されているため、選択した EKM リポジトリに、現在の Workbench プロジェクトを直接保存したり、選択したリポジトリで、Workbench プロジェクトを検索して、開いたりすることができます。Workbench との統合がより密になった結果、進行中のプロジェクトとの連携が容易になり、あるユーザーが作業を進めているデータを、他の複数のユーザーが利用することも可能になりました。検索や監査証跡の機能も、多くの面で操作性が強化されており、生産性向上に貢献します。

EKM では、ANSYS Workbench プロジェクトを直接開いて保存できるので、現行プロジェクトに対するローカル コピーの更新やバージョン管理が容易になります。あるユーザーの作業データを、他の複数のユーザーが利用することも可能です。EKM は、プロジェクト レベルのメタデータを抽出して、Workbench プロジェクトのコンポーネント システムおよび関連する全情報を含む詳細なレポートを自動生成します。このデータは、アーカイブされた Workbench プロジェクトを表示、識別、検索、再利用するために使用できます。
複雑なシステムのシミュレーション
自動車のモデリング
ANSYS Workbench の IC エンジン解析システムは、形状設定、メッシュ生成、メッシュ運動、コールド フロー設定、ポスト処理のステップを自動化して、設定時間を短縮します。ダイナミック リメッシュ機能が境界層を考慮するよう改良されたため、壁の効果をより正確に捉え、メッシュ品質を向上させることができます。ANSYS 社の技術は、高速で精度の高い内燃エンジン シミュレーションを実現します。

ANSYS 製品の IC エンジン解析システムでは、IC エンジンの CFD モデルを作成し、メッシュを生成することができます。
ポートや移動バルブを持ったエンジンも扱えます。
IC エンジン専用の設定ツールを使用して、非常に短時間で効率的に、シミュレーション全体を設定できます。
双方向連成
数値流体力学(CFD)と構造解析の機能を同時に利用すれば、複雑なマルチフィジックス問題の高精度な分析を簡単に行えます。よく知られた例が FSI(流体構造連成解析)でしょう。流体と構造の相互作用の例として、流体からの力が固体構造物に作用し、構造物が変形するというケースが考えられます。この変形が、逆に流体の挙動に影響を与え、流体の構造に対する作用を変化させる可能性もあります。別の FSI の例として、流体と構造の温度の相互作用が挙げられます。大きな温度差が存在する場合、構造変形(固体物質の膨張と収縮)や流体の力学的変化(流れの膨張と収縮)が生じる可能性があります。ANSYS 14.0 では、ANSYS Fluent と ANSYS Mechanical 間のマルチフィジックス双方向連成が追加され、フラッタリングなどの複雑な現象を解析できるようになりました。

僧帽弁置換後の三葉弁を流れる血流の双方向非定常解析。流体は非ニュートン流体で、材料は非等方性の超弾性組織。

新たに加わったシステム カップリング コンポーネントで、簡単にマルチフィジックス シミュレーションを設定できます。
この例では、システム カップリング コンポーネントを使用して、
ANSYS Fluent とANSYS Mechanical の双方向 FSI を設定しています。
高度なモデル機能
ANSYS 14.0 は、既存のモデルにさまざまな新しい材料や機能を追加しています。バイオメディカル機器の開発では、Holzapfel モデルのような拡張された材料式を使用して、ステント モデル用の繊維強化組織や形状記憶合金の挙動を把握できます。
また、電子部品の熱解析、構造解析、連成解析で、水分拡散をモデル化する機能が実装されました。ANSYS 製品の音響連成解析では、遠方場パラメータの計算が可能になり、PML(perfectly matched layers)の機能が強化されました。大変形シミュレーションでは、3D リゾーニング機能が拡張され、多くの荷重および境界条件に適用可能になったほか、より広い範囲の非線形材料がサポートされるようになりました。ANSYS社は、ブレーキ鳴き解析についても、その発生を予測する複素固有値解析、新たに加わった最先端の線形手法、パラメトリック解析などの、最適なソリューションを提供します。

音響連成解析によるスピーカのシミュレーション。近傍から遠方までの圧力場の結果を表示できます。

ステント解析(左)で使用される形状記憶合金の拡張、摩擦溶接(右)で使用される塑性発熱など、
材料モデルが多くの面で進化しました。

水分は、PBGA のような電子部品に重大な影響を及ぼす可能性があります。
図は、160 時間後の PBGA 内部における水分拡散を示すシミュレーション結果です。
低周波、構造、流体の連成を強化
電磁界ツールと Fluent を単方向連成することで、CFD 設計シミュレーションで得られた正確な温度を電磁界設計にフィードバックできます。この機能を用いれば、多様な冷却システムのトポロジ、および、それが電磁モータや発電機に与える影響を評価することが可能になり、システム全体の最適化をANSYS Workbench で実施できます。
応力解析と電磁界解析の双方向連成では、電磁力の発生が電磁構造に与える効果、すなわち、形状を変形させる原因を解析します。変形した形状は、電磁界ソフトウェア プラットフォームに自動的に読み込まれ、さらに、電磁界分布が再計算されます。このようにして、変形した構造の電磁特性が評価されます。熱-応力シミュレーションが関与する場合、連成用のワークフローに沿って、応力フィードバックを使用できます。

ANSYS Maxwell で計算したバスバーの発熱(左)。
ANSYS Fluent に結果をエクスポートして、周囲の空気の温度を計算します(右)。
オイラー液膜モデル
オイラー液膜モデルは混相流の新しいモデルで、液滴の堆積による壁面液膜の生成と力学現象を、液体の飛沫化、粒子の剥ぎ取り、壁面エッジにおける液膜剥離などを考慮しつつ予測します。液滴が液膜に加わったり、液膜から剥離したりする際の挙動は、DPM(分散相モデル)との連成によってモデル化します。液膜内部の運動量およびエネルギーの対流・拡散が正確にモデル化されるので、航空機の翼面や自動車のフロントガラス上のランバックのような複雑な現象のシミュレーションも可能です。

自動車のバックミラー表面に雨滴が堆積してできた液膜の厚さを可視化。液膜から剥ぎ取られた水滴も表示しています。
図を見やすくするため、液膜に加わる雨滴は表示していません。
多分散流れのモデル化
インジェクタ、流動層、気泡塔のように、噴霧、固気流れ、気液流れ等が関与する多くの産業プロセスにとって、多分散かつ/または高密度の混相流の挙動と力学を理解することは、重要な意味を持ちます。ANSYS 14.0 では、粒子流れおよび相変化プロセスのためのモデルが強化され、たとえば、オイラーまたはラグランジュのいずれの方式でも、粒径分布を使用して粒子流れをモデル化できます。また、沸騰事例におけるバーンアウトの予測も改善しています。

流動層中の石炭粒子。粒子は、粒径で色分けされています。軽い粒子は浮遊し、重い粒子は装置下部に充填されます。
これは、離散要素モデルと高密度分散粒子モデルを連成して、高い精度が得られる代表的な例です。
HPC による技術革新の加速
流体ソルバーと HPC
ANSYS 社は、リリースごとに、より強力なソルバーと HPC 性能を提供することに力を注いでいます。ANSYS 14.0 では、アーキテクチャを意識したパーティション分割、モニターを有効にしたシミュレーションでのスケーラビリティの向上、異種混合ネットワークをサポートするリモート ソルバー マネージャの正式リリースなどを含む、包括的な機能が利用可能になりました。さらに、品質の劣るセルを自動的にマークし、これらのセルに、よりロバスト性の高い数値手法を適用することで、ソルバーのロバスト性を向上させ、全体の精度を高める機能もサポートされています。

構造物の空力シミュレーション(1億1100万セル)における並列スケーラビリティ。図中の理想的な
スケーラビリティとの比較でわかるとおり、優れた性能が得られます。ここでは、最大 1,500 個の
プロセッサについて結果を示していますが、最大 3,000 個までは高いスケーラビリティが実証されています。
ターボ機械モデル
ANSYS CFX 14.0 の非定常翼列モデルは、単翼流路を考慮し、次の 3種類の問題を扱います。まず、流路と異なる位相角を持った入口乱れを設定できます。また、翼のフラッタリング運動は翼流路の位相に一致しませんが、翼流路に移動メッシュを適用して、翼フラッタリングのシミュレーションを実施できます。最後に、ピッチ角が互いに異なる2本の翼流路を使用して、動静翼段についてシミュレーションを実施できます。以上は、いずれも、非定常翼列モデルを使用しなければ、全周のメッシュが必要になる問題であり、このモデルにより、計算負荷が大きく軽減します。対象となるターボ機械には、軸流、斜流、遠心の各タイプの多段圧縮機、タービン、ファン、ポンプなどがあります。

ピッチの変化する(段ごとに翼の数が異なる)圧縮機やタービンの一般的なシミュレーションでは、系の大部分を計算しなければなりません。対称性がない場合、全周 360 度のシミュレーションが必要になります(左上)。しかし、ANSYS CFX に新たに装備された非定常翼列モデルを使用すれば、わずか 2 本から 3 本の翼流路を使用して、はるかに小さな計算負荷で、そのようなシミュレーションを実施できます(右上)。全周の系と非定常翼列を使用した部分的な系の結果(注目点における静圧履歴の結果)を比較したグラフが示すように、このシミュレーションで、精度が犠牲になることはありません。
構造解析における HPC
大規模モデルの計算は、多くの技術者にとって、日常の業務となりました。利用可能なハードウェア能力は着実に進歩を続け、GPU ボードなどの最新技術もそれに貢献しています。ハードウェアの性能を十分に生かすためには、それに適したアルゴリズムを用意しなければなりません。また、モデルを効率的に解析したとしても、結果の検討には、ファイル サイズと I/O負荷のために、さらに多くのリソースが必要です。ANSYS Mechanical 14.0 では、最新世代の GPU ボードが利用できるだけでなく、ポスト処理に必要な I/O を最小化することも可能です。

クラスタの計算ノードで複数の GPU を使用することにより、計算時間を短縮できます。
図は、400 万 DOF のはんだボール モデルに対するクリープひずみ解析の結果です。
資料提供:MicroConsult Engineering, GmbH
有限アレイ解析
有限サイズのアレイ アンテナの解析は、アンテナ設計で非常に重要な問題です。アレイ アンテナは電気的に構造が大きいため、3D シミュレータを使ったシミュレーションは容易ではありませんでした。そのため、通常採られる方法は、単一のアンテナを解析してから、周期境界を用いて無限大のアレイを作成するか、アレイ係数を用いて有限アレイを作成するというものでした。しかし、この方法は、すべてのアレイ エッジ効果を無視するため、指向性パターンの計算が不正確になります。ANSYS 製品の新しい有限アレイ機能は、有限アレイをフルサイズでモデル化するので、アレイのエッジ効果を考慮した、適切な指向性パターンを予測できます。
Physical Optics ソルバー
電気的に大規模な構造の中でも、航空機や船舶は特殊なものとみなされます。従来、これらのモデルは、3D フルウェーブ電磁界ソルバーを使った解析には規模が大きすぎたため、一般的な方法として、Physical Optics コードが使用されてきました。この手法は、きわめて大規模な電磁界問題を高速に、かつ、比較的正確に評価できます。ANSYS HFSS には、標準の有限要素法ソルバーおよび Integral Equation ソルバーに加え、この Physical Optics ソルバーが装備されました。
ANSYS Workbench
ワークフロー パフォーマンス&ユーザビリティ
シミュレーションを単一の動作条件で実行しても、性能情報を得られますが、性能限界全体について実行することで、設計に関してより多くの洞察を得られます。形状の構成、メッシュ コントロール、物性値、操作条件のパラメトリック モデリングを可能にすることで、ANSYS Workbench は設計の調査および最適化のためのフレームワークを提供し、シミュレーション プロセスを自動化させます。ANSYS 14.0 は、クラスタ計算環境を考慮した Remote Solve Manager(RSM)による同時解析に対応した設計点の更新が可能です。
形状のモデル化およびシミュレーションの相互運用性
ANSYS DesignModelerでは、Named Selections および Sketches のサポートに加えて、形状エンティティ(フェース、エッジ、頂点など)を直接操作できるようになりました。ANSYS 14.0 の全機能および全ツールは、頻繁に使用する機能やツールに直接アクセスできるように、カスタマイズしてツール バーに表示させることができます。作業効率化のために、利用頻度が高い操作のショートカット キーが追加されました。ANSYS 14.0 のその他の改善点として、スライス処理の自動停止、エラー処理の改善、シングル セレクトとボックス セレクトの簡単な切り替え、トポロジの問題を特定し修正するためのエッジ方向と頂点の可視化などが行われました。
ANSYS EKMのインストールと設定
ANSYS EKM 14.0 には数々の新機能が追加されましたが、中でも重要な変更は、EKM Individual と EKM Shared という 2 種類の製品で、インストールとライセンス設定を簡素化するというものです。
- EKM Individual の設定では、1人のユーザー向けに、1台のマシン上に、EKM サーバーを設定します。ユーザーは、自分のサーバー上にある個人リポジトリにアクセスし、EKM の全機能を使用できます。
- EKM Shared Server の設定では、複数のユーザーが共同作業のためにアクセスできる共有デバイスに EKM サーバーを設定します。複数のユーザーが LAN や WAN を経由して共有リポジトリにアクセスできます。

EKM は、柔軟でわかりやすいライセンス モデルにより、シングル ユーザーの構成と共有構成の両方に対応する、
スケーラブルなソリューションです。
分散したチームが、ローカルまたはリモートにあるマシン上のリポジトリに接続して、
共同で CAE の作業を行うことを助けます。
ANSYS EKMによる生産性向上
EKM は、ANSYS Workbench に統合されているため、選択した EKM リポジトリに、現在の Workbench プロジェクトを直接保存したり、選択したリポジトリで、Workbench プロジェクトを検索して、開いたりすることができます。Workbench との統合がより密になった結果、進行中のプロジェクトとの連携が容易になり、あるユーザーが作業を進めているデータを、他の複数のユーザーが利用することも可能になりました。検索や監査証跡の機能も、多くの面で操作性が強化されており、生産性向上に貢献します。

EKM では、ANSYS Workbench プロジェクトを直接開いて保存できるので、現行プロジェクトに対するローカル コピーの更新やバージョン管理が容易になります。あるユーザーの作業データを、他の複数のユーザーが利用することも可能です。EKM は、プロジェクト レベルのメタデータを抽出して、Workbench プロジェクトのコンポーネント システムおよび関連する全情報を含む詳細なレポートを自動生成します。このデータは、アーカイブされた Workbench プロジェクトを表示、識別、検索、再利用するために使用できます。
構造解析
Mechanical APDL と ANSYS Workbench の統合
ANSYS 14.0 は、Workbench Mechanical の実行環境において、有限要素モデルのさまざまなコンポーネントを制御する多くの機能を導入しています。拘束方程式、スパイダー ウェブ、弱ばね等のすべての接続を可視化できるようになり、選択ロジックを使用して、節点のセレクションを作成できます。例えば、解析のリスタート操作時に修正する可能性がある荷重や境界条件を適用するために、これらのセレクションを使用できます。

![]()
同様の選択ロジックを使用して、節点の Named Selection を作成可能。
例えば、球状または箱型のボリューム内のノード グループを、ベースになる形状から個別に選択することができる。
複合材
複合材構造のシミュレーションでは、さまざまな方向を考慮しつつ構造上に膨大な数の層を定義したり、構造の破壊の可能性を層ごとに解析したりという課題が伴います。ANSYS Composite PrepPost は、このようなモデルの操作を非常に容易にする専用ツールです。リリース 14.0 では、ANSYS Composite PrepPost と ANSYS Workbench の他の構造解析機能を密接に統合しました。また、進行性破壊のような複合材の破壊を解析するための特殊なモデリング技術も提供します。

資料提供:TU Chemnitz and GHOST Bikes GmbH

ANSYS Composite PrepPost はプロジェクトページに表示され、陽解析または陰解析とのデータ交換を
スムーズに行うことができる。上の画像は、陰解法で解析した自転車のフレームと、陽解法で解析した野球のバット。
外部データのマッピング
異なる物理場間でシミュレーション結果を共有する場合、外部ファイルからデータ(圧力場、温度、熱交換係数など)をインポートするのが一般的な方法です。また、自動化アルゴリズムを使用すれば、異なるメッシュ間でデータを効率的に投影できます。しかし、オリジナル データと作業中のメッシュの間に不整合がある場合や、オリジナル データが不十分な場合に、問題が発生することがあります。ANSYS 13.0 で導入した機能を ANSYS 14.0 で改善し、新たなコントロールおよび補正機能が利用可能になりました。

画像は翼の温度場をインポートしたもの。
それぞれ、実際の温度フィールド(左)と、補間データの品質を評価する検証ツールから得た結果(右)を示している。
回転機械
ANSYS 14.0 では ANSYS Mechanical で、ソリッド ボディおよびライン ボディについて、キャンベル線図を用いて一軸システムの臨界速度を特定する機能を導入しています。これにより、ANSYS Workbench のユーザーは効率的にソルバーを利用することができます。

初期設計で行われるような、テキスト ファイルのシンプルな定義によって、形状を自動作成できる。

ANSYS Mechanical のキャンベル線図は、構造のモードごとの変化を速度で示し、
臨界速度および各モードの安定性を特定できる。
ビームおよびシェル
ANSYS Mechanical は、ライン ボディのパイプとビームの定式化を切り替える機能を導入しました。パイプ特有の荷重と結果を定義する機能も利用可能です。ANSYS 14.0 は、Mechanical APDL ソルバーから利用可能な最新のパイプ要素をサポートします。
ユーザーは外部のデータ機能を使用して、表形式データの不均一の厚さフィールドをインポートできます。ANSYS Polyflow などのシミュレーション プログラムや、可変厚さを持ち、液体で満たされたプラスチック ボトルの落下試験のような複雑な事象のシミュレーションから、可変のシェル厚さを持つボディを直接インポートできます。

Mesh Connection:形状(左側)は不連続サーフェスで構成されているが、メッシュは完全に連続しており、
形状をマージする必要はない。
形状モデル上で共有エッジを利用するために、形状を変更せずに隣接するフェースの節点をマージできるように、Mesh Connection が強化されました。これにより、大規模なシェル モデルのメッシングにおけるロバスト性と効率が向上します。
ロバストな陽解法解析
NBS(Nodal Based Strain)の四面体要素は、これまで遭遇していた数値的な難問を解消します。せん断の影響を受ける問題で四面体要素を使用する場合、要素はロックされます。陽解法解析には、六面体要素が最も適していますが、六面体要素では複雑な形状のメッシングが困難です。10 年ほど前の ANSYS Explicit Dynamics に実装されていた ANP(Average Nodal Pressure)の四面体要素は体積ロッキングの問題を解決できても、せん断ロッキングの問題は解決できませんでした。ANSYS 14.0 では、NBS の四面体要素によって、せん断荷重を伴う問題を精度良く解析することができます。

新しい四面体要素によって、解析精度を保ちつつ、複雑な形状のモデル化を短時間で行うことができる。
双方向連成
数値流体力学(CFD)と構造解析の機能を同時に利用すれば、複雑なマルチフィジックス問題の高精度な分析を簡単に行えます。よく知られた例が FSI(流体構造連成解析)でしょう。流体と構造の相互作用の例として、流体からの力が固体構造物に作用し、構造物が変形するというケースが考えられます。この変形が、逆に流体の挙動に影響を与え、流体の構造に対する作用を変化させる可能性もあります。別の FSI の例として、流体と構造の温度の相互作用が挙げられます。大きな温度差が存在する場合、構造変形(固体物質の膨張と収縮)や流体の力学的変化(流れの膨張と収縮)が生じる可能性があります。ANSYS 14.0 では、ANSYS Fluent と ANSYS Mechanical 間のマルチフィジックス双方向連成が追加され、フラッタリングなどの複雑な現象を解析できるようになりました。

僧帽弁置換後の三葉弁を流れる血流の双方向非定常解析。流体は非ニュートン流体で、材料は非等方性の超弾性組織。

新たに加わったシステム カップリング コンポーネントで、簡単にマルチフィジックス シミュレーションを設定できます。
この例では、システム カップリング コンポーネントを使用して、
ANSYS Fluent とANSYS Mechanical の双方向 FSI を設定しています。
高度なモデル機能
ANSYS 14.0 は、既存のモデルにさまざまな新しい材料や機能を追加しています。バイオメディカル機器の開発では、Holzapfel モデルのような拡張された材料式を使用して、ステント モデル用の繊維強化組織や形状記憶合金の挙動を把握できます。
また、電子部品の熱解析、構造解析、連成解析で、水分拡散をモデル化する機能が実装されました。ANSYS 製品の音響連成解析では、遠方場パラメータの計算が可能になり、PML(perfectly matched layers)の機能が強化されました。大変形シミュレーションでは、3D リゾーニング機能が拡張され、多くの荷重および境界条件に適用可能になったほか、より広い範囲の非線形材料がサポートされるようになりました。ANSYS社は、ブレーキ鳴き解析についても、その発生を予測する複素固有値解析、新たに加わった最先端の線形手法、パラメトリック解析などの、最適なソリューションを提供します。

音響連成解析によるスピーカのシミュレーション。近傍から遠方までの圧力場の結果を表示できます。

ステント解析(左)で使用される形状記憶合金の拡張、摩擦溶接(右)で使用される塑性発熱など、
材料モデルが多くの面で進化しました。

水分は、PBGA のような電子部品に重大な影響を及ぼす可能性があります。
図は、160 時間後の PBGA 内部における水分拡散を示すシミュレーション結果です。
構造解析における HPC
大規模モデルの計算は、多くの技術者にとって、日常の業務となりました。利用可能なハードウェア能力は着実に進歩を続け、GPU ボードなどの最新技術もそれに貢献しています。ハードウェアの性能を十分に生かすためには、それに適したアルゴリズムを用意しなければなりません。また、モデルを効率的に解析したとしても、結果の検討には、ファイル サイズと I/O負荷のために、さらに多くのリソースが必要です。ANSYS Mechanical 14.0 では、最新世代の GPU ボードが利用できるだけでなく、ポスト処理に必要な I/O を最小化することも可能です。

クラスタの計算ノードで複数の GPU を使用することにより、計算時間を短縮できます。
図は、400 万 DOF のはんだボール モデルに対するクリープひずみ解析の結果です。
資料提供:MicroConsult Engineering, GmbH
流体解析
CAD形状の自動メッシング
CAD モデルには、パーツ、ギャップ、パーツ同士の接触部などが多く含まれ、これらの数が多くなるほど、形状の質が低下しやすくなります。CFD エンジニアは、流体領域の抽出とメッシュ生成のために、CAD ファイルから得た形状をクリーン アップする必要がありますが、長く面倒な作業になりがちです。ANSYS 14.0 のアセンブリ メッシング ツールを利用すれば、CAD アセンブリから流体領域を自動抽出することができ、目的や好みに応じて、カットセル処理された直交メッシュの生成や、非構造の四面体メッシュ(Cut-Tet)の生成が可能です。
カットセルはセル数を削減でき、壁や境界から離れた領域に高品質メッシュが必要な場合に適しており、Cut-Tet は壁近傍の領域に高品質メッシュが必要な場合に適しています。せん断層や境界層などの勾配の大きな領域を精度良く解像するために、この 2 つのメッシング技術でインフレーション層がサポートされています。解析のプリ処理(六面体/四面体ハイブリッド メッシュを生成するための、形状クリーンアップ、流体領域の抽出、領域分割)に膨大な時間を割いていたユーザーは、このアセンブリ メッシング ツールを使用することで、短時間のうちにロバストな方法で高品質メッシュを自動生成することが可能です。

ANSYS Workbench Meshing は、複雑な CAD アセンブリの流体領域抽出およびメッシュ生成を自動的に行う。
画像はカットセルを行った六面体メッシュ。四面体メッシュの生成も可能。
両方の手法で、壁近傍の流れを解像するためのインフレーション層をサポートしている。
パラメトリックモデリングおよび設計最適化
ANSYS Fluent の Adjoint ソルバーを用いることで、形状やその他の設計パラメータについて、目的とする工業量(抗力、揚力、圧力の低下など)の導関数を算出できます。これにより、パフォーマンスおよびロバスト性を向上させるために最も適した設計変更の指標を得られ、また、幅広い設計変更シナリオが予想される改善の定量的推定を短時間で行えます。Adjoint 法の優れた点は、単一のシミュレーションから、従来よりもはるかに多くの洞察を得られることです。この技術が ANSYS Fluent と密接に統合され、信頼性が高く一貫性のある設計感度を確実に計算することが可能です。

Adjoint ソルバーは、F1 カーの最適なダウンフォースを得るために必要な形状の修正箇所と、
その方法を示すことができる。
電子機器冷却のワークフロー&ユーザビリティ
ANSYS Icepak 14.0 では、新しいアイコンを使用したグラフィカル ユーザー インターフェースの採用、メニューおよびダイアログ ボックスのデザイン変更、右クリック機能の拡張、グラフィクスの拡張、その他多くの生産性を向上させる機能拡張が行われました。ANSYS DesignModeler が改良されたことで、3 次元 CAD データをもとに ANSYS Icepak のオブジェクトの簡略化と作成を短時間で行えます。ANSYS CFD-Post の新しい変数(Thermal Chokepoint および Thermal Cross)を使用することで、熱抵抗が高い領域や、新たに熱流路が生じる可能性のある領域を特定できます。

ANSYS Icepak の GUI。デザインを変更し、よりユーザー フレンドリーに。
自動車のモデリング
ANSYS Workbench の IC エンジン解析システムは、形状設定、メッシュ生成、メッシュ運動、コールド フロー設定、ポスト処理のステップを自動化して、設定時間を短縮します。ダイナミック リメッシュ機能が境界層を考慮するよう改良されたため、壁の効果をより正確に捉え、メッシュ品質を向上させることができます。ANSYS 社の技術は、高速で精度の高い内燃エンジン シミュレーションを実現します。

ANSYS 製品の IC エンジン解析システムでは、IC エンジンの CFD モデルを作成し、メッシュを生成することができます。
ポートや移動バルブを持ったエンジンも扱えます。
IC エンジン専用の設定ツールを使用して、非常に短時間で効率的に、シミュレーション全体を設定できます。
双方向連成
数値流体力学(CFD)と構造解析の機能を同時に利用すれば、複雑なマルチフィジックス問題の高精度な分析を簡単に行えます。よく知られた例が FSI(流体構造連成解析)でしょう。流体と構造の相互作用の例として、流体からの力が固体構造物に作用し、構造物が変形するというケースが考えられます。この変形が、逆に流体の挙動に影響を与え、流体の構造に対する作用を変化させる可能性もあります。別の FSI の例として、流体と構造の温度の相互作用が挙げられます。大きな温度差が存在する場合、構造変形(固体物質の膨張と収縮)や流体の力学的変化(流れの膨張と収縮)が生じる可能性があります。ANSYS 14.0 では、ANSYS Fluent と ANSYS Mechanical 間のマルチフィジックス双方向連成が追加され、フラッタリングなどの複雑な現象を解析できるようになりました。

僧帽弁置換後の三葉弁を流れる血流の双方向非定常解析。流体は非ニュートン流体で、材料は非等方性の超弾性組織。

新たに加わったシステム カップリング コンポーネントで、簡単にマルチフィジックス シミュレーションを設定できます。
この例では、システム カップリング コンポーネントを使用して、
ANSYS Fluent とANSYS Mechanical の双方向 FSI を設定しています。
低周波、構造、流体の連成を強化
電磁界ツールと Fluent を単方向連成することで、CFD 設計シミュレーションで得られた正確な温度を電磁界設計にフィードバックできます。この機能を用いれば、多様な冷却システムのトポロジ、および、それが電磁モータや発電機に与える影響を評価することが可能になり、システム全体の最適化をANSYS Workbench で実施できます。
応力解析と電磁界解析の双方向連成では、電磁力の発生が電磁構造に与える効果、すなわち、形状を変形させる原因を解析します。変形した形状は、電磁界ソフトウェア プラットフォームに自動的に読み込まれ、さらに、電磁界分布が再計算されます。このようにして、変形した構造の電磁特性が評価されます。熱-応力シミュレーションが関与する場合、連成用のワークフローに沿って、応力フィードバックを使用できます。

ANSYS Maxwell で計算したバスバーの発熱(左)。
ANSYS Fluent に結果をエクスポートして、周囲の空気の温度を計算します(右)。
流体ソルバーと HPC
ANSYS 社は、リリースごとに、より強力なソルバーと HPC 性能を提供することに力を注いでいます。ANSYS 14.0 では、アーキテクチャを意識したパーティション分割、モニターを有効にしたシミュレーションでのスケーラビリティの向上、異種混合ネットワークをサポートするリモート ソルバー マネージャの正式リリースなどを含む、包括的な機能が利用可能になりました。さらに、品質の劣るセルを自動的にマークし、これらのセルに、よりロバスト性の高い数値手法を適用することで、ソルバーのロバスト性を向上させ、全体の精度を高める機能もサポートされています。

構造物の空力シミュレーション(1億1100万セル)における並列スケーラビリティ。図中の理想的な
スケーラビリティとの比較でわかるとおり、優れた性能が得られます。ここでは、最大 1,500 個の
プロセッサについて結果を示していますが、最大 3,000 個までは高いスケーラビリティが実証されています。
ターボ機械モデル
ANSYS CFX 14.0 の非定常翼列モデルは、単翼流路を考慮し、次の 3種類の問題を扱います。まず、流路と異なる位相角を持った入口乱れを設定できます。また、翼のフラッタリング運動は翼流路の位相に一致しませんが、翼流路に移動メッシュを適用して、翼フラッタリングのシミュレーションを実施できます。最後に、ピッチ角が互いに異なる2本の翼流路を使用して、動静翼段についてシミュレーションを実施できます。以上は、いずれも、非定常翼列モデルを使用しなければ、全周のメッシュが必要になる問題であり、このモデルにより、計算負荷が大きく軽減します。対象となるターボ機械には、軸流、斜流、遠心の各タイプの多段圧縮機、タービン、ファン、ポンプなどがあります。

ピッチの変化する(段ごとに翼の数が異なる)圧縮機やタービンの一般的なシミュレーションでは、系の大部分を計算しなければなりません。対称性がない場合、全周 360 度のシミュレーションが必要になります(左上)。しかし、ANSYS CFX に新たに装備された非定常翼列モデルを使用すれば、わずか 2 本から 3 本の翼流路を使用して、はるかに小さな計算負荷で、そのようなシミュレーションを実施できます(右上)。全周の系と非定常翼列を使用した部分的な系の結果(注目点における静圧履歴の結果)を比較したグラフが示すように、このシミュレーションで、精度が犠牲になることはありません。
電磁界解析
ANSYS HFSS for ECAD
Ansoft Designer の新しいリンク機能により、Cadence のレイアウト ツール(Allegro、Virtuoso、SiP など)上で ANSYS HFSS のモデル作成から解析までを行えるようになりました。これにより、すべての Cadence 環境でモデル作成を自動化できるため、HFSS の専門家でないエンジニアも解析が可能です。
Cadence ユーザーでない方は、ODB 形式を使用してレイアウトを Ansoft Designer に直接インポートできます。Ansoft Designer に取り込むことで、レイアウト エディタを使用してレイアウト変更を容易かつ短時間で行うことができ、また、HFSS Solver on Demand 機能で自動的に励振条件を割り当てて、インポートした構造を解析することができます。
ANSYS SIwave の精度とユーザビリティの向上
ANSYS SIwave は、ビアとその関連構造の計算機能を大きく向上させました。この機能向上には、任意のアンチパッド形状の評価や、場合によっては近接するビアの連成モデルも含まれます。また、上下にGNDリファレンスが存在しない信号線の扱いを改善させました。
ANSYS SIwave は、HSPICE または ANSYS Nexxim のトランジェント シミュレーションを ANSYS SIwave から直接実行できる機能を持ちます。一度シミュレーションを終えると、各信号線の時間領域波形を ANSYS SIwave から直接プロットさせ、評価することができます。
3 次元 IC パッケージ
IC パッケージ メーカーは、チップの性能向上を維持するために、System-on-Chip(SoC)、スタック(積層)ダイ、Multi-Chip Module(MCM)などのより複雑なパッケージ技術の発展を続けてきました。同一パッケージ内で複数のダイを縦に積み重ねるスタック ダイのような 3 次元のパッケージは、特殊な熱的条件となります。3 次元構造では、熱はチップ全体に均一に拡散せず、局所的なホットスポットが発生します。ANSYS Icepak 14.0 を使用すれば、スタック ダイや Package-on-Package(PoP)の熱シミュレーションが可能です。

1U ネットワーク サーバーの流線と温度分布。
6 面体を中心とした非構造マルチレベル メッシュで複雑な形状も無理なく表現。
有限アレイ解析
有限サイズのアレイ アンテナの解析は、アンテナ設計で非常に重要な問題です。アレイ アンテナは電気的に構造が大きいため、3D シミュレータを使ったシミュレーションは容易ではありませんでした。そのため、通常採られる方法は、単一のアンテナを解析してから、周期境界を用いて無限大のアレイを作成するか、アレイ係数を用いて有限アレイを作成するというものでした。しかし、この方法は、すべてのアレイ エッジ効果を無視するため、指向性パターンの計算が不正確になります。ANSYS 製品の新しい有限アレイ機能は、有限アレイをフルサイズでモデル化するので、アレイのエッジ効果を考慮した、適切な指向性パターンを予測できます。

新たに装備されたアレイ アンテナ解析機能で、アレイ アンテナ(8x8)の指向性パターンを解析
Physical Optics ソルバー
電気的に大規模な構造の中でも、航空機や船舶は特殊なものとみなされます。従来、これらのモデルは、3D フルウェーブ電磁界ソルバーを使った解析には規模が大きすぎたため、一般的な方法として、Physical Optics コードが使用されてきました。この手法は、きわめて大規模な電磁界問題を高速に、かつ、比較的正確に評価できます。ANSYS HFSS には、標準の有限要素法ソルバーおよび Integral Equation ソルバーに加え、この Physical Optics ソルバーが装備されました。
